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03.小倉織との出会い

人生には、あの日あのとき足を踏み出していなければと思うような出来事がある。

2015年6月に訪問した展示会「Interior Lifestyle Tokyo」は、生涯忘れないであろう日の一つだ。当時の社員全員で、初めて工芸関係の展示会の視察をした。日本では、工芸品に注目が集まりつつある時期で、様々な工芸メーカーが活気ある展示をしていた。当時、HULSは、シンガポールのスタッフであるインテリアデザイナーのLimの経験を活かすため、インテリア向けの日本の工芸品を重視してリサーチを開始していた。

この日、今でもお取引のある工芸メーカーのいくつかと知り合うことになるのだが、その中でも、最も思い出深いのが小倉織の「縞縞」というブランドとの出会いだ。展示では、白を基調としたブースに、濃い縞柄が美しく並んでいて、興味を引いた。実は、最初に見たときは、ブースが混み合っていて、声をかけることを躊躇してしまった。その後、帰り際になり、どうしてもあの縦縞の存在が気になり、帰りそうになる社員たちを引き留め、改めてブースに立ち寄ることにした。

工芸の展示会では、小規模の会社が多いこともあり、経営者本人がブースに立つことも多く、その場で密度の高い話ができるところに特徴がある。縞縞も、社長である渡部英子さんと、その娘の弥央さんが元気に説明をしており、明るく活発な活動をしている印象を受けた。同世代の後継者がいるなら、話がしやすいだろうと感じたこともあり、人混みをかき分け、声をかけた。

話を聞くと、この小倉織は、先染めによる特有の織り方によってこの縞を実現していると言う。綿100%でありながら、インテリア用途にも展開を検討しているといい、Limもすぐに気に入ったようだった。明るく説明をしてくれる二人の人柄にも魅力を感じ、この人たちが生み出す商品を海外で紹介できたらと、生地への想いを強くして、会場を去った。

その後、この縞縞との出会いをきっかけに、ミラノサローネへの訪問や有田焼の窯元・李荘窯らとの出会いが続いていくのだが、こうした縁は、商売を行う上で、大切にしなくてはいけないことの一つであり、自分自身の人生にとっても、大きな出来事の一つであった。

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文・写真:Yusuke Shibata