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15.Artisan – Beyond Craft

20173月、HULSPR会社のVivid Creations社と共同で、シンガポールにて日本工芸の国際展示会「Artisan – Beyond Craft」を開催した。HULSとしては、初めての公での展示会であった。展示メーカーは8社。HULSが運営する工芸のバイリンガル情報サイト「KOGEI STANDARD」から8社を厳選し、紹介することとした。

この「Artisan – Beyond Craft」は、シンガポールデザインウイーク(通称SDW)のパートナーイベントとして認定された街中での展示イベントである。ミラノデザインウイーク中に見学をした街中での展示会がどれも素晴らしく、そうした雰囲気をシンガポールのデザインウイークにも取り入れてみたいと考えていた。大きな展示施設での商業的な展示会は一般の方は気軽に見学できるものではないし、展示の空間づくりも味気ない。街中で、ふらっと立ち寄ることのできる、そんな展示作りをしてみたい。そんな想いで、街中での展示会を決めた。

展示方法にもこだわりを持ち、まず、KOGEI STANDARD の取材で撮影された様々な工芸写真を大きくパネル展示した。KOGEI STANDARDの質感ある現場写真は、私たちが日本工芸の奥行きを海外に伝えていく上で欠かせないものの一つである。また、HULSのコンセプトである「Roots & Touch」の流れに沿って、全ての展示品は手で触れることができるようにし、香りや音、照明など、空間全体で心地よい空間になるように心がけた。

最も苦労をしたのが、メーカーの展示品選定だ。初めての展示会であるにも関わらず、200平米近い展示スペースの商品を自分たちで選ばなくてはならない。メーカーごとに商品のサイズ感や色調には違いがあり、それぞれのバランスをとることは、一苦労であった。インテリアデザイナーであるLimを中心に、試行錯誤をしながら、展示品を選定した。

数ヶ月にも及ぶ準備期間の後、「Artisan – Beyond Craft」は無事に開催され、展示期間中、人種・国籍を問わず、300人を超える方に来場をいただいた。多くの来場者が、パネル写真や工芸品をじっくりと眺め、長い時間、展示場で時間を過ごしてくれていたのがとても印象的であった。

展示初日には、それぞれの展示写真を眺めながら、産地に訪問した日のことを思い出した。今の時代、こうして、一つ一つの産地を、時間をかけてめぐり、自分の目で見てきた経験は、会社にとっても、自分自身にとっても、大きな糧となっていくことだろう。目の前に並べられた工芸品や写真たちが、なんだか嬉しそうな顔をしている気がして、この事業の価値を改めて感じた瞬間であった。

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文:Yusuke Shibata、写真:Takuma Suda