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24. 工芸品の海外展開 – 表現力

HULSが、工芸品の海外展開において何よりもこだわりを持っているのは、「表現力」であろう。自分たちは物を作る立場ではなく、職人の想いを受けて、海外にそれを伝えていくのが使命であるから、私たちの表現には、そうした職人の想いが宿っている必要があると思っている。写真を中心に、文章やデザイン表現において、工芸を海外に伝えていくプロフェッショナルでありたいと思い、そこにこだわり続けてきた。

表現の中でもこだわりが強いのは、写真表現である。KOGEI STANDARDの現場撮影は、プロのフォトグラファーである須田卓馬さんにお願いをしている。私自身、須田さんにしか撮ることのできない映画のような写真には惚れ込んでいるのだが、その須田さんに刺激を受けるようにして、自分自身も写真での表現力を高めてきたつもりだ。動画が世の中の流行になりつつあるが、写真でしか映らない一瞬の美しさというものもあると思っていて、そうした信念は、企業としての特徴の一つとなりつつあるのではないかと思っている。

私自身が撮影をする際に好きなのは、カメラを向けたときに、一瞬だけ世界が凝縮されたような気分になる瞬間だ。商品なり、風景なりを何枚か撮影していると、時たまに、レンズ越しに「空気感」のようなものを感じるときがある。プロのフォトグラファーはきっとそうした写真を狙って撮影ができるのであろう。そんな瞬間の写真には、独特な力があると思っている。

表現力といえば、私自身は、文章表現にも大きなこだわりがある。工芸のような想いの強い品は、単純に商品だけを並べて、「はい、どうぞ」と見せるようなものではない。言葉の表現や空間の演出などによって、大きくその品の見え方は異なり、そうした全体での印象を受けて、人はその品の魅力を感じ取るものだと思う。

例えば、私たちのギャラリーでは、商品は演者であり、ギャラリーの支配人は、監督・脚本家のようなものであろう。私たちが語る言葉がその品を引き立てることができるように、日々、言葉のセンスを磨きたいと思うばかりだ。

現代では、日常に多くのものが溢れていて、一つ一つのものをこうして意味付けすることは少々億劫なことに映るのかもしれない。それでも、その膨大な物の多さに埋没してしまえば、私たちの暮らしは、とてもちっぽけなものになってしまう。私たちが扱うものは、人の手によって生み出されてきた工芸品である。その品々が、「雑貨」という言葉で一括りにされることのないように、私たちは日々、工芸品を伝えるときの言葉に想いを込め続けなければならない。そういう想いこそが、きっと海を渡る工芸品を輝かせていくのだと思っている。

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文・写真:Yusuke Shibata