初めての工芸産地訪問

2014年11月、ふと思い立って、日本の陶磁器の産地を訪問することにした。訪問したのは、島根県の窯元で、民藝を代表する窯元の一つである「出西窯」。海外での暮らしを通じて、改めて日本文化の魅力を感じ始めていた頃であり、実際に、日本の窯元をこの目で見てみたいと思った。

初めての産地訪問はウェブサイトからアポイントをとり、一人で訪問した。工芸品については、本で読んだ程度の知識しかないときだったので、新鮮な気持ちで産地に向かったことを覚えている。

工房に着き、お店の方に挨拶をすると、工房には自由に入って見ていいと言う。工房では、それぞれの職人に声をかけながら、説明に耳を傾けた。ろくろを回す人、釉薬をかける人。専門用語がわかったりわからなかったりであったが、それでも初めて見る工房は面白かった。

そのときに感じたのは、職人技だけなく、ここで働く人々の暮らしやルーツにこそ魅力があるということ。有名な窯元だったこともあり、ここにいる職人たちは、わざわざ他県から働きに来ている人もいた。今の時代、こうして日本の地方でものづくりをしている人たちは、なんだか綺麗な目をしていたし、穏やかな表情をしていた。そしてまた、彼らは自分のように日本と海外とを行き来している人の話を興味深く聞いてくれた。

地方のものづくりと海外を繋げること。
それが、自分にできることかもしれない。

そんな想いから、HULSは日本工芸の国際事業に本格的に取り組むことになる。