岐阜県の瑞浪へ

2016年1月、春先に公開予定のオンラインメディアの取材と商品企画の打ち合わせを兼ね、岐阜県の窯元である「深山」に、シンガポール人デザイナーのCaseyさんをお連れした。同行するHULSのシンガポールスタッフのLimにとっても、初めての工房見学であった。

日本は、雪混じりの時期で、凍えるほどの寒さであったが、雪の降らないシンガポールの人たちからすれば、これはこれで良い思い出になったのではないだろうか。

深山の工房がある岐阜県の瑞浪市は、日本でも有数の焼き物の産地。深山は、鋳込成形を得意とし、瑞浪地域の中でも規模の大きな窯元である。シンガポール人の二人にとっては、見るべきもの全てが新鮮に映っているようで、二人の反応は、まるで子供のようだった。シンガポールでは、日本とは違い、日常的にものづくりに触れる機会が少ないため、工房自体を一つの風景として捉えている。そんな印象を受けた。

日本人にとっては当たり前のように見える景色も、外国人にとっては新鮮に映る。きっと、道中の一つ一つが、彼ら二人にとって大きな思い出となり、この先の創作活動に大きく影響を与えるのだろう。そう思うと、自分自身も特別な喜びを感じた。

「連れてきてくれてありがとう」

旅の最後に、Caseyさんはお礼の言葉をくれた。Caseyさんが見たかったものがそこにはあったのだろう。外国人が本当に触れたいと思う工芸の現場。それを追い求めるのが、これからのHULSの役目なのだ。

帰りの電車の中で、そんなことを思いながら、自社メディアの初めての記事を書き綴った。