Sense of Nature in Milano

2019年4月、ミラノデザインウイーク2019期間中、ブレラ地区のギャラリーにて、KORAIのインスタレーション展示「Sense of Nature」を行った。2016年に初めてミラノを訪れた際、いつかこの街で国際的な展示ができたらと思ったものだが、その三年後にこうして自らの企画を実現できたことはとても嬉しく感じた。

イタリア・ミラノは、毎年のミラノデザインウイークの期間中、特別な空間となる。世界中からデザインやアート、インテリアに関心のある人々が集まり、様々な展示を楽しむ。企業やブランドにとっては、商業的な展示の場であると同時に、様々な国から集まる人々に対してこれからの美のスタイルを提案する場でもあり、それらが街全体に活気ある国際的な雰囲気を生み出している。

今回の展示「Sense of Nature」は、オリジナルブランド「KORAI」のインスタレーション展示だ。KORAIは、「涼」をコンセプトとし、日本の自然の美意識を工芸を通じて映し出すブランドであり、ミラノの展示でも、そうした自然観をコンセプトとして、空間づくりを行った。

展示はとても盛況だった。新たに発表した「Ren/漣」という木製のモビールが、昨年発表した「水の器」と共に、美しい空間を生み出してくれた。私たちにとっては初めての欧州展示だったこともあり、進行に不慣れな部分もあったが、期間中、現地の人々を中心に、1500名以上の方々が訪問してくれ、KORAIが表現する新たな工芸のスタイルを楽しんでもらえたように思う。一方で、新たな課題も感じることができた。今回の展示では、ミラノデザインウイークという期間の雰囲気に、自分たちの意識を合わせ過ぎてしまったような印象が残った。デザインやインテリアの見本市であり、世界中の関係者が集まるのだが、その枠の中での自分たちというものを考え過ぎてしまったのかもしれない。オリジナリティというのは、自らの内面に宿るものであって、表面的なスタイルのことではない。私たちKORAIには、「涼」という特別なコンセプトがあり、そして工芸という魅力を兼ね備えている。その価値に深く向き合っていく必要があるのだと感じさせられた。

私は、こうして新たなことに挑むとき、「前に踏み出さなければ見えない景色があるのだ」と自分に言い聞かせるようにしている。世界は広く、まだ見ぬ景色は数多ある。こうした展示を通じて、自分が、KORAIが、どう変わったのか。そうした経験を積み重ねていくことが、本当の成長なのだろうと思う。